それが恩納村にある「陶器と泡盛の専門店 陶・酒 仲里」です。
58号線の那覇〜名護間はなんべんも走ってて、特徴ある店なんで記憶に残ってました。「陶器」、「古酒」と書かれた大きな旗が道沿いにはためいてて結構目立ってます。
駐車場に車を止めて、海沿いの喫茶店のような店に入ると意外と中はこぢんまりとしてました。
泡盛もさほど種類は置いてませんでした。
しかし、泡盛の棚の先にある何種類かのクースカーミ(古酒甕)が目に付きました。
近くに寄ってみると、パッと見の姿形は、あんまり好みではありませんでした。
値札を見ると5升ガメのシンプルなデザインで、26250円という高価さ。
内心で、「なんでこんな甕がこの値段なんや?」と思ってると、お店の大将仲里光則さんが声を掛けてくれました。
古酒に興味があるというような返事をすると、そこから仲里さんは熱心に色んな説明をしてくれました。
まず、甕の違いってことで、店の甕を叩いてくれました。
すると、コツコツではなく、ほとんど「キンキン」に近い金属的な音がしました。
丁度上等な備長炭同士を当てると金属音がするような感じ。
そして、これこそがちゃんと焼き締められた甕の音だとのこと。
食器などに使う普通の陶器が7〜800度で焼くところを1300度くらいで焼いてると。
そしてその高温での焼き締めに最適な土の配合に秘密があるとのこと。
古酒の作り方で一番重要なのは、甕選びだと。
例えば、メーカーが甕に入れて売っている3〜5升の古酒に使われてるモノは長期の保存には全く耐えないとのこと。
また沖縄県内の酒販チェーンやホームセンター、一部の土産物屋にも古酒用として甕だけを売ってるが、それもほとんどは使えないとのこと。
ヒドイものだと、陶器のキメが粗いために泡盛が漏ってくるし、更にタチが悪いのは水分は漏れないが、アルコール分だけが揮発するモノがあるとのこと。
そうするとせっかく10年、20年の単位で寝かしても、開けた時には酒がワヤ(駄目)になるんやそうです。
10000円以下では、まともな甕が作れるハズがないとのこと。
私も甕を持ってると言うことは、仲里さんの熱心なトークにタイミングなく言い出せなかったんですが、かなりショックな内容もありました。
*私が寝かしてる古酒についてはコチラの記事をご覧下さい。
古酒にするにはぜひとも40度以上の泡盛を使うようにとも言われました。
うちにある「琉球王朝」は度数が低いんで最初から気になってたので、ドキッ。
仲里さんが若い頃、ウィスキー全盛でその時にホンマにウマイ古酒に出会った時の感動なども聞かせて貰いめちゃめちゃオモロかったです。
コチラの店に置いてる甕の良さを説明してくれるんですが、まったく商売気がなく、愛好家が自分の趣味について語ってる感じがヒシヒシと伝わってきました。
オタクというと悪い意味に聞こえますが、ほんまに古酒作りにこだわってるのが分かりました。
今まで読んだいくつかの記事によると「古酒作り」にも気合いが入ってる人ほど、自分なりの信念があるようです。
だから、絶対に仲里さんの言うことが正しいとかってことではないんですが、古酒への愛に溢れた話を聞くのは楽しかったですねぇ。
他にお客さんがいなかったこともあって、あっという間に30分くらい経ちました。
ボチボチ行こうかと思ってると、「あとちょっと時間がありますか?」って言われました。
何かと思って「ハイ」と答えたのは大正解でした。
ちょっとコッチへと店の奥に案内されました。
一見、壁に見えたのは可動式のパーテーションになってました。
そこから現れたのが、こんなモノ。
主に地元恩納村の「萬座」という銘柄。
小さく見えますが全てが5升甕。
後ろにも棚があって約30個も甕がありました。
1978年頃から「萬座」の一升瓶をケース買いしてはったそうです。
それを去年くらいからお店で売ってる甕に入れ始めたそうです。
一升瓶を買い始めた時から、酒造所の社長と顔見知りで、交渉して特別なラベルを作ってもらってるそうです。
甕に移した時の日付も小さく書いてありました。
沖縄には、古酒作りに心血を注ぐ人がいるとは読んだことがありましたが、個人のコレクションを実際に目にしたのは初めてでした。
30本の甕だけで、70万以上の価値ですよね。そこに20年を越える古酒が詰まってるということは、すごい価値ですねぇ。
なんでも一旦は「銭」に換算してみるのが大阪人の悪い癖ですが・・・。
仲里さんは長年ホテルマンとして働いてはったそうで、趣味が高じての独立でしょうか。お店をやって9年くらいになるそうです。
沖縄には戦争で焼けなければ、2〜300年の古酒を持つ家もあったそうです。
世界でも例を見ない熟成の仕方をしたアルコールとして誇れただろうと本当に残念そうに話してはりました。
いやー、ともかく純粋な「愛」を感じましたよ。
そういう人が自信を持って売る甕だっただけに本当に欲しかったです。
でもまあ、主夫の身分ではそんな贅沢が許されるハズもなく、我慢しましたが・・・。
お店では、万が一帰り道に割れては行けないから「持ち帰り」は認めてないそうです。
必ず店から送ってもらってるそうです。
そして、送る前にはまず甕の内側の表面を磨いて細かな粉が出ないようにして、仕上げに泡盛で洗ってから出荷するそうです。
この辺、全てがちゃんとして古酒を広めたいという仲里さんの志のように感じて非常に好感が持てました。
そうそう、自分が今までやって来た古酒作りのノウハウを書いた説明書?も同封してくれるそうです。
頂いた名刺にはウェブサイトのアドレスがあったんですが、どうも閉鎖されてるようです。
電話やFAXでやり取りして通販もするってことでしたんで、興味ある人はどうぞ。
長く話を聞かせて貰い、貴重なコレクションまで拝見したからなんか買おうかと思ってると豆腐ようのことを振られました。
私が、土産モンのヤツはハズレが多いですねぇと返事すると、
「それなら、コレを味見してください」と勧められました。
これが「山本彩香の店」で食べた程かは分かりませんがかなりのモノ。
聞いてみると小規模で作ってる知り合いメーカーがあって、漬け込む時の泡盛を自分の指定した古酒で作ってもらってるとのこと。
ええ甘みが出てかなりまろやかになったと、そのメーカーの社長も言うてたそうです。
このお店のオリジナルとして買っておられたんで、自分用に買って帰りました。
値段は1000円と端数だったと思います。
なんとなくの思いつきで入った店ですが、ほんまラッキーでした。
*陶器と泡盛の専門店 「陶・酒 仲里」
住所:沖縄県恩納村字恩納6086
電話:098−966−2325(FAX共)
営業:11:00〜19:00
定休:年中無休(臨時休業あり)
・お店への行き方
沖縄自動車道では屋嘉ICが最寄りです。国道58号を名護方面に少し走ったところにあります。
ヤフーの地図では、コチラになります。
さらに、古酒ネタで続きが。
この日の夕方に泊まった宿「海山木」の大将が、仲里さんとはまた違った形で古酒にこだわりがありました。
特許を取ってる特別な製法の2斗入りの甕を持ってはって、35度以上やったら銘柄にこだわらず混ぜてるとのこと。で、時折60度の花酒を混ぜて調整をするそうです。
特別な甕やから3年で10年以上寝かした味になるとのこと。
なんと甕だけで30万円以上したそうです。
こちらの大将(宮城さん)は、毎晩のようにガンガン飲みはるんで、なんぼ2斗入りでも全体は3年も寝かせてない気がしました。
ところが、飲ませて貰うとか〜なりウマイ古酒でした。銘柄は違いますがうちにある5年モノの菊之露とは雲泥の差でした。
この日は、一日に2回も古酒についての「こだわり」を聞けてビックリでした。
私、オタクって嫌いじゃないんですよねぇ。
ちゃんとコミュニケーションが取れる人なら何かにこだわってる人の話は結構聞ける方やと思います。
自分があんまりこだわらんからでしょうかねぇ。
<備考>
沖縄旅行については、全体の目次があります。
他の記事に興味がある方は、コチラからどうぞ。


次回はぜひ八重山にもおこしくださいね。
八重山にはすごく興味があります。
次回は八重山に行きたいですね。
参考になったようで幸いです。
店の大将の話を聞くだけでも楽しかったです。
いつかこのお店の甕で古酒を寝かしたいと思っています。
沖縄を楽しんで下さいね。