2006年08月25日

尖沙咀の「鹿鳴春」にて念願の「乞食鶏」

香港旅行で唯一予約までして食べたモノなんで、旅ネタがフェードアウトする前に書いておきます。

今回の旅行の前に一応予習のたぐいをやりましたが、ごくごく僅か。

先日東京に行ったときの方が飲み食い処の情報をぎょうさん集めてました。

大阪と較べるとはるかに大きな都会なんで飛び込みではキツイかなぁと思ったからです。

返還の前の知識しかないけど、香港も店は山ほどあるやろうとは思ってました。

でも、私ら夫婦は海外旅行となると飛び込みでハズレを引くのも楽しみやと思うんです。
ネットなり本なりで調べて、色んな人のココやって言う店を回るだけでも、あっちゅう間に4〜5日くらい潰れますわね。

ぜひ行きたいところが5軒あったとして、リストを消化せなアカンと思うと一日のどこかが「予定」で縛られる気がするんですよね。

「今日の晩メシはアッコで食べるから」って思うだけで、かなり制約を受ける気がするんです。

たとえば、


アッコは広東料理やから、昼は広東はやめとくか・・・


夜に北京ダック食うから、今、鶏食べるのもなぁ・・・


この手の発想が出ると、せっかく町歩きで見付けた”大ヒット”かもしれん食べモンを見逃しかねないなんて考えるわけですわ。

中国語だけのメニューであてずっぽに頼むと予想外な料理が出る可能性は高いけど、それが自分にビタッとはまったときの感動は高級店のイチ押しメニューより上かと。


そんなわけで、事前の情報収集は敢えて自粛。

 *特に一旦嫁さんに言うてしまうと、”絶対ソコ行く”ってなりますんで・・・。



旅の楽しみには、旅行期間中を楽しむ以外に、行く前、帰ってからの楽しみもありますよね。

情報収集はせぇへんけど、行く前も楽しむために、パラパラと料理名をチェック。

もしどっかで見かけたら食べてみたろうと思うモンだけピックアップ。

とはいえ、ええかげんやから料理として目が付いたのは数品ですけどね。

初日の翠亨邨で食べたアヒルの舌は、そのうちの一つです。

結局食べられへんかったんですが、「酔鴿(ハトの紹興酒づけ)」ってなもんにも目ぇ付けてました。



”なんぞ他に特別に食べたいモンあるかなぁ〜?”

って、考えてて思い出したのが”乞食鶏”。


乞食鶏のことは、いつどこで知ったんでしょう?最初に知った時の記憶にはないんですが検索してるとマンガの「美味しんぼ」の20巻に登場してたようです。


ソレで知ったって人の文章も多かったですし、実際20巻くらいなら読んでたんで、私もそこで知った可能性はあります。
 *2〜30巻以降は、ほとんど読まなくなりました。
 

乞食鶏とは、ごっつぅ簡単に言うと丸鶏に詰めモンをして蓮の葉で包んで、さらに泥でくるんで蒸し焼きにした料理。




私のイメージではムチャに時間が掛かって、普通の人間が食べる機会のないような料理。
旅行番組なんかで、島嶼国(ポリネシアだのミクロネシアだの?)でお祝いのご馳走が紹介されるとこを想像してください。

我々が”原住民”って言葉でイメージしやすい格好の村人が総出で料理を始める。

男のグループが豚を追いかけ回して、息の根を止める。

女性陣は、その間にバナナ?の葉っぱやら、イモやらを集めてくる。

宴会場になる村の広場にかなり大きな穴を掘って、バナナの葉っぱを敷いて豚を入れて、また葉っぱをかぶせて土に埋める。

その上で盛大に焚き火をやって、その周りでは歓迎の踊りなんぞが始まって、口噛み酒なんぞが振る舞われる。


まあ、最後に豚の丸焼きならぬバナナ蒸しなんぞを食べて、「美味しいー!!」とアホな芸人が歓声を上げると。



まあ、そういう特殊な料理のイメージをこの乞食鶏には持ってたわけですわ。

落ち着いて考えりゃ、鶏は大人の?豚ほどデカくもないし、日本の鯛の塩竃みたいなモンなんやと思います。

ちょいと手間がかかるし、派手やけど”一般人には食べられへん”ってことはないですわね。

実際、検索を掛けると神戸の中華料理屋で食べたっていうこちらのブログを見付けたりしました。



「美味しいぼ」以外でも、なんべんか乞食鳥については読んだことがあります。

由来については、いくつかのパターンがあるようですが、どれも定説ではないようです。
素人さんのサイトを見てると微妙に解釈がズレてたりして、どれが正しいかは分からんのでここには由来は書かんときます。

申し訳ないですが興味ある人はご自分で検索してみて下さい。<(_ _)>



この乞食鶏は”泥で包んで”焼くから、いきなり行ってその場で注文したらえらいことになりますわなぁ。

参鶏湯も時間かかるハズやけど、ソウルで食べた専門店ではすぐ出ました。

数が出ると分かってるから事前にどんどん料理をやってたんでしょう。

さすがに乞食鶏の専門店はないように思いますが・・・。

ちょいと検索するとほとんどどこでも1〜2日前に予約が必要やと書いてはりました。


乞食鶏はどこのレストランでも出す料理ではないようやったんでいくつか食べられそうな店を調べて行きました。

2日目にホテルのコンシェルジュんとこに行って、”begger's chicken”が食べたいんで予約してくれって頼みました。

ホテルで予約して貰うなんて、金持ちかヘタレな観光客って気がしましたが、中国語のできない私は香港じゃ間違いなく”ヘタレ”。

カッコ付けずに言葉の通じるトコで段取り。

中国語の料理名では、”叫花鶏”、”叫化童鶏””富貴鶏””教化鶏”なんて表記されるようですが、当然発音出来ません。

乞食鶏を食べるのにホテルのオススメがあるかと聞くと、イマイチ反応薄。

そこで調べていった店でええやろうと思って、交渉を頼みました。

検索で出たページによると「2人では多すぎる」と断られそうになったなんてことも読んでました。

 *参考サイト:第33回 高貴な料理、それが乞食鶏

今回予約した店ではそんなこともなく、値段を確認してもらうと280元とのこと。

日本円で4000円くらいやったら、恐くないんでその場で一番早く食べれる時間帯を予約。

昼過ぎに電話してて、次の日のランチは無理やと言われ、その日の夕方で予約。


そんなわけで香港の3日目は珍しく朝から晩メシのことを”意識して”飲み食いしてました。


北京料理の「鹿鳴春(Spring Deer Restaurant)」の場所予約した「鹿鳴春」ってトコは、我々が止まってたカオルーンホテルから歩いてすぐにありました。

ネイザンロードの「ホリデイ・イン・ゴールデン・マイル・ホコン(金域假日酒店)」の角を曲がって、麼地道(Mody Rd.)をずんずん奥(東)へ。







一番最初に見えた「鹿鳴春(Spring Deer Restaurant)」の看板突き当たりが見えてきたところで看板を発見。

「鹿鳴春(Spring Deer Restaurant)」のネオンサイン。

なんとなく場末のバーみたいやないですか?

京菜とあるように北京料理店です。


乞食鳥自体は、杭州の名物料理のようです。杭州の場所はさきほど確認すると上海に近いんですね。

よって料理のジャンル分けでは本来上海料理なのかもしれません・・・。

私にはあんまり重要ではないので、ヨシとしておきましょう。



ちょっと余裕を持って出て良かったんですが、看板は見つかったのに入り口を見付けるのにはちょいと苦労しました。


鹿鳴館の入り口はしけた土産物屋の奥にあったビルの入り口をしけた土産物屋がブロックしてました。

安くさいチャイナドレスや、エロトランプが並ぶ昔ながらのお店。

通路に商品を並べてるせいで、まるで土産物屋の奥に隠れてるようでした。






土産物の中を抜けてひょいと右手を見ると、2階の店舗へ続く階段がありました。






2階への階段もかなりショボショボこんなアプローチやと引き帰したくなる人もいるかもしれませんね。

私ら夫婦は「オッ、こらオモロイなぁ」と逆に盛り上がりました。



たしかに日本でこんな店構えやったらパスしてたとは思います。

高度成長期の頃で時間が止まったままの”ホニャララ観光ホテル”ってヤツを思い出しました。

2階のお店に入って、予約してあると伝えると横長のお店の入り口近くに案内されました。

入り口近くってちょっと落ちつかん気もしましたが、観光客やからというわけではなく、地元の人らも予約組は入り口近くに固まってました。


まず、ビールを注文すると、日本語の出来るフロアのおじさんが寄ってきて

 「チンゲン菜のニンニク炒めは、どう?」ってなことを。
 
向こうも乞食鶏を2人だけで予約してると分かってるから、他の物はあんまりすすめず。
素直にそいつを頼みました。


ビールを舐めながら店内を見てると、全体にやっぱり”さびれた観光ホテル”風。

良く言えば年季の入った内装と雰囲気でした。(^^)




予約してあったせいか、ほとんど待たずに乞食鶏さんが登場。






ワゴンに乗って登場した「乞食鶏」ワゴンに乗って登場した「乞食鶏」。

予約は7時でしたが、まだ店内はまばら。

写真と反対方向には何組かお客さんが入ってました。

このあとドンドンお客さんが入ってこっちの席もほぼ埋まりました。


解体の時に泥が飛んでもええようにか、かなり大きめのビニールが敷かれてました。



真偽は不明ですが、この乞食鶏は結婚式や宴会の定番料理だという一文も見かけました。
樽酒の鏡開きのようなもんでしょうか?

主賓が木槌なんかで泥を割るってのは、よく似ています。

店によると泥を取って盛り付けてから持ってくるトコもあるようですが、さすが古き良き”観光ホテル”、ちゃんとハンマーを持ってきてくれました。



主賓が泥を割る儀式をやるそうですやっぱりこの手の役は嫁さんに譲らんとね。

こっちはネタ用写真を撮らんとあきませんし・・・。

結構固いようですが、大胆な嫁はガッツンと食らわしてました。



何発でもガンガン行きそうな嫁でしたが、ウェイターの人が危機を察知したのか2発目くらいに取り上げてくれました。

少し離れたところでプロが本解体してる様子をみると、泥に木槌全体を押さえつけるようにして泥を砕いてました。

泥の中からはまず銀紙(アルミホイル)で包まれた固まりが現れ、そいつを剥がすと蓮の葉(とおぼしきもの)に包まれた固まりが登場。

かなり熱いようで、おっちゃん2人がかりで

”アチッ、アチ”、”ホッ、ホッ”

って感じで鶏を取りだしてました。(猫手のあたしにゃ無理ですわ)


ジャジャーンと蓮の葉の中から姿を現した「乞食鶏」ジャジャーンと蓮から姿を出した乞食鶏。

おっちゃんらはこっちがカメラを構えると気を効かせてサッとよけてくれてました。



後ほどヨソのテーブルで地元の人らも食べてたんですが、やっぱりみんな写真撮ってました。(^^)

丸鶏のまま来るのかと思ってると、おっちゃんらが更にさばいて?くれてました。

そしてその場で左手のおっちゃんの持つ大皿へと移されました。




あんまり見た目はよくない「乞食鶏」これがついに登場した「乞食鶏」。

正直言うて、あんまり写真写りのええ料理ではないですなぁ。


丸焼きの鶏だとかと、北京ダックどかだともうちょっと美味そうな写真になるでしょうね。

乞食鶏くんは残念ながら見た目はイマイチですね。

ちなみに蓮の葉に包まれてるときは、首から頭もついてたと思います。

でも頭と首は葉っぱを剥いたらすぐに取ってどっかに持っていってしまいました。

グロテスクで嫌がるモンが多いからの配慮だったんでしょうか・・・。



さて、初めて食べ見た乞食鶏の感想はというと


まず、香りがええですねぇ。メインは蓮の葉っぱかもしれませんが泥で封じ込められてたせいか、ふっわぁ〜とええ香りが広がりますわ。

八角系の中華のニオイもするんで、そっちの香りに弱い人にはどうか分かりませんが、私ら2人には非常に食欲をそそるニオイでした。

肝心の鶏にも当然ええ香りが付いてまして、蒸し焼きのおかげでしょうか鶏がジュシーで柔らかいのに驚きました。

「と〜っても、柔らか〜い」なんていうのはグルメ番組のアホ女がよう言う台詞ですが、
「ほんま、柔らこうてウマいのう」とアホオヤジもつぶやいてしまいました。(^ ^;)

鶏の中には中華の漬けモンを詰めたりするようですが、たしかに味の濃い高菜のような菜っぱが入ってました。

他にも何種類も刻んだモンが入ってましたが、なにやったかはよう分かりません。




唯一分かったのは、コイツです。




八角が丸々入ってたのには少し驚きました八角が丸々入ってたのには少し驚きました。

そら、八角のニオイがプンプンするわって感じです。


日本の中華料理本などでは、八角はニオイがキツイので控えめになんて説明を読んだことがありますが、そのまま使ってるあたり大胆ですね。

中身がきっちりと味のある野菜類やったせいもあり、全体に味は濃いめでした。

私は鶏好きなんで最後まで美味しく食べましたが、途中で飽きが来る人もあるかと思います。

やっぱり丸鶏ってのは食べる”行為”自体が楽しいですわ。

色んな形の骨があって、そいつを手づかみにして肉をキレイに掃除するように食べるってのが好きなんですよねぇ。

小ぎれいな切り身より何倍か美味しく感じてしまいます。


大胆な盛りつけのチンゲン菜他に食べたのかがこの大胆な盛りつけのチンゲン菜だけやったのも理由かも知れません。

やっぱり少なくとも4人くらいで来たかったですわ。



この店のウリは北京ダックのようでしたが、地元客が多かったです。

他の料理が食べられへんかったのが残念です。


もし、毎週2回食べろと言われたら、乞食鶏より蒸し鶏を選びます。

次回香港に行ったらもう一回食べるかは微妙です。人数が居てたら1匹をシェアはしたいですが・・。

鯛の塩竃もきっと同じやと思うんですが、美味いし楽しいけど、そないになんべんも食べる必要のあるもんではないかと。


もちろん本やテレビの中でしか見聞きしたことのなかった料理が食べられたんでごっつぅハッピーでした。


おっと、値段を書き忘れました。

貧乏鶏が280元、チンゲン菜のニンニク炒め一皿、カールスバーグの大瓶3本で492元でした。

コミコミで2人で8000円くらいなんで、私は大満足です。

次回はこの店でぜひ違う料理を食べたいです。

ガイドブックによるとこの店は毎日約1000人も客が来て北京ダックを注文するとか。
ガイドにも載ってたのに、日本人らしきテーブルには気付かんかったですわ。

観光客多いトコが嫌な人にも向いてるんちゃいますかね。


「鹿鳴春(Spring Deer Restaurant)」<参考>
・北京料理「鹿鳴春(Spring Deer Restaurant)」

住所:九龍尖沙咀麼地道42号2F(←日本式の2階、現地では1階)
電話:2366−4012
営業:12:00〜15:00,18:00〜23:00
定休:無休


<変更>
タイトルを変更。

アップ時は”唯一、わざわざ予約して食べた物”だった。



<後日追記>

*香港旅行の記事の目次になるページを作りました。

 他の記事にご興味のある方は、コチラをご覧下さい。
posted by えて吉 at 11:54| 大阪 ☀| Comment(2) | TrackBack(0) | 旅先&遠出 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
香港ですか!懐かしいー!!
私も旅先ではいつも、えて吉さんとまったく同じ気持ちになりますねー↓。

>「今日の晩メシはアッコで食べるから」って思うだけで、かなり制約を受ける気がするんです。

あと私もまったくこのタイプ…(^^;↓

> ホテルで予約して貰うなんて、金持ちかヘタレな観光客って気がしましたが、中国語のできない私は香港じゃ間違いなく”ヘタレ”。

一度、地元じゃ結構知られる店に飛び込みでいったら、地元客でいっぱいでものすごーく待たされた覚えがあるもんで。

乞食鶏、たしかに南太平洋の島とかで出てくるヤツに似てますね。
ルーツをたどると面白いかも?
Posted by 平野@オーストラリア at 2006年08月26日 10:07
平野@オーストラリアさんへ

> あと私もまったくこのタイプ…(^^;↓

平野さんもおんなじですか。
やっぱり自由がいいですよね。

> 乞食鶏、たしかに南太平洋の島とかで出てくるヤツに似てますね。

日本の塩竃より、どうしてもアッチ系をイメージしてしまってました。(^^)
Posted by えて吉 at 2006年08月26日 12:24
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