この日は朝イチから飲茶に行くことに決めてました。
向かった先が香港島の上環(ションワン Sheung Wan)にあるお店「蓮香楼」。
*蓮香楼は、正しくは「蓮香[木婁]」と書きます。
このお店については、行く前から飲茶専門のガイドブックをパラパラと眺めてて気になってました。
今回の旅行での飲茶第1弾は「陸羽茶室」でした。
そこで書きましたが、初めての香港では陸羽に行く前に町中をうろついて見付けた店で最初の飲茶をしました。
ツレにはそっちの店が合わなかったようですが、実は私にはそっちの店の方がオモロかったんです。
あんまり小ぎれいでもなく、勝手も分からんけど、知らん国で旅してるって気分があって良かったんです。
とはいえ、14年ほど経って、元々記憶力ない私にはどの辺にあったか全く不明。
ただ、ガイドブックを眺めてると唯一この「蓮香楼」がソコっぽい雰囲気。
べつに昔行った店を全て巡り直そうとは思ってませんでしたが、ガイドの見出しでも
「昔ながらの香港が生きている店」
と紹介されてて、記事を読む限りはかなりわたし好み。
おまけに旅行初日の小ネタ記事にコメントくれた、呪医トシちゃんさんからも要望あり。
そん時はまだ予定が決まってなくて、約束は出来ませんでしたが行く気満々でした。
私の旅では、その旅のメインイベントみたいなモンでも、その日の気分でパスしちゃうことがありますから、実際に行くまでは保証出来ないですし・・・。(^ ^;)
当日は8時頃までゆっくり眠れました。出発まで現地からの記事を上げたりして、ゆったりスタート。
「蓮香楼」は朝の6時から営業してるんで、朝メシをそこにしようと決めてました。
電車嫌いなんで本来なら九龍半島と香港島の移動は、スターフェリーと行きたいところ。
でも店のある上環は、セントラルのすぐ隣。フェリーで行くと乗り場から微妙に距離があったんです。
朝イチから歩くとハラ減って途中で別の店にフラフラッと吸い込まれそうなんで、地下鉄に乗りました。
「チムサーチョイ(尖沙咀)駅」からは、「金鍾駅」、「中環駅」、「上環」と3つしか駅がないのに、セントラルで乗り換えんと上環に行けないのが不満でした。
「文句言うてんと、ちゃっちゃ飲茶食べに行くでぇ〜」
って、嫁さんにあきれられながら上環駅へ。
手元の地図によるとおそらく「E2」の出口から出た気がします。
「中遠大厦(Cosco Tower)」と「新紀元廣場(Grand Millennium Plaza)の間を抜けると大通りに当たりました。
皇后大道中(Queen's Rd.)を渡って、やや斜めにすすむ細い道へ。
ちょいとごみごみした威霊頓街(Wellington St.)を進むと、アッサリとお店を発見。
店は道の角に立ってるんですが、そこまで行くとなんとなく見覚えがあります。
十何年前の記憶が鮮やかに蘇って来たのです。
急に目の前の霧が晴れたように、当時の情景が浮かびました。
初めての街を歩き回った末に初めて飛び込む地元のお店への緊張と期待。
すっかり忘れたと思っていたことがまざまざと・・・。
な〜んてことを書けるとかっちょええ紀行文っぽいですが、そんなハズはなし。
店を見ても、やっぱり昔の記憶は真っ白け。
でも、やっぱり妙に引っかかるものがありました。
そこで地図を引っ張り出して確認すると、店の角で威霊頓街に直角あたってるのは鴨巴甸街(Aberdeen St.)という通り。
それで分かったんですが、前日に嫁さんの言動にカチンと来たときに、タクを乗ってこの道を下って来てたんです。
この店のある角を左折したから前日はお店に気づかず。でも来ると決める前に店の横を通ってた訳です。
そんなに歩き回ってない香港で、妙な偶然がオモロかったです。
嫁さんにそのことを言うと、
「知らん道をそうやって覚えてるアンタがキショい」と。
*キショい:気色悪いって意味です。
さあ〜て、やっとマクラが終わりました。
マクラで何が言いたかったって言うと、なんか知らんけど”ええ流れ”に乗って、店まで来たってことですわ。
初めての店への印象って、自分のその時の状態によって左右されやすいんで、エエ流れで来れたのはラッキーなこっちゃないかと思うわけです。
こう書くと結論がバレてるとおもいますが、私的にはこの店は大当たり。
こっから先は、自分の好みのど真ん中に直球が飛び込んで舞い上がってるヤツの文章やと思って2割引くらいで読んでもうてもけっこうです。
1階は年季の入ったお菓子屋さんなんで、飲茶を食べるにはまず2階へ上がります。
普段着のオヤッさん達を中心に地元の人で午前中から大盛り上がり。
セントラルって、大阪や中心部のビル街っぽくてメッチャ都会です。
そこから距離にしたらナンボも離れてないのに、店内の色彩が違うんです。
服装が地味で、特に年配の女性なんかはかなり懐かしい感じの洋服。
かなり混んでるけど、新聞を広げてゆっくりやってる人がやたらと居てました。
日本で言うたら家の近所につっかけ履いてモーニング食べに来たおっちゃんて感じの人が多いんです。
平日の10時頃からなんでアンタらはそんなにゆったりしてるんや?って疑問も浮かびましたが・・・。
この2階に上がった瞬間に
「こ〜ゆぅ〜、店に来たかったんや」って思いましたよ。
日本人とすぐバレたのか無言で、丸いテーブルの一角を指さされました。
ほとんどのテーブルが相席のようでした。
いつものように「ポーレイ」と伝えると、ドン、ドンって感じで茶器が置かれました。
日本人だと分かると「どうせよう使わんやろう」とばかりに、食器類を洗うセットを省略されることが多い気がします。
ここはそんな区別するのも邪魔くさいとばかりに、フロアのおっちゃんが私らにもセットを出してくれました。
香港人の飲茶の作法を見てると、まず最初に湯飲みや食器を熱湯かお茶で洗ってますね。
相当な高級店でも平気で洗ってるような気がします。
人によっちゃ湯飲みを写真みたいにつけて、ちょいちょいと回すだけの人から”熱湯消毒せな悪いビョーキになる”って感じで必死で洗う人、色々かと。
マレーシアで世話になった華僑のホストマザーは、正に後者。
屋台でも高級店でも、必死に箸や食器を洗い清めてはりました。
*この旅行ではよくマレーシアで世話になった華僑の人等のことを思い出してました。
私は衛生面は全く無頓着なんで、素人クサイ手つきで湯飲みだけをちょいとゆすぎました。
そんな儀式を終えて、いよいよ飲茶スタート。
とりあえずポーレイ茶を口に含みながら周りの様子を観察。
ガイドブックにはメニューで注文するのがメインと書かれてました。
ところが人の多い時間やったからか、ワゴンが時々回ってました。
おばちゃんが大声で「蒸し餃子、上がったよぉ〜」、「出来たて熱々やでぇ〜」ってな感じで売り歩いてました。
オッサン連中はテーブルから手を挙げて「ねぇちゃん、こっちにおくれ」って感じでした。
私らは実物が見れるのをコレ幸いと、交代でワゴンへ。
一つずつ勝手に手を伸ばして中身をチェックしてテーブルまで持って帰りました。
この店では伝票の値段別の枠に印を付けることで勘定するようでした。
1回目は伝票を忘れたんで、おばちゃんがテーブルまで一緒に来てくれましたが、次からは伝票持参で。
食べたのは、こんな点心の数々です。
ワゴンに行くと、おばちゃんが指さしながら「コレは、何々、こっちは何」って説明してくれてましたが、聞き取りは全く不可。
なので料理名はさっぱり分かりません。
左上の見たままシューマイです。
皮が黄色かったんですが、なんの色やったんでしょう。何シュウマイかは不明です。
右上は、湯葉で包まれた煮物でした。
湯葉がややゴワっとした食感になってたんで、いっぺん揚げてから蒸してるのかも知れません。
*湯葉は、中国語の表記では”腐皮”となるようです。
豆腐は気にならんけど、腐皮って書かれると分かるまでギョッとしてしまいません?
左下は、エビ餃子。
私が食べた感じでは中に入って野菜はセロリのような気がしました。
右下は、エビの腸粉。
この料理を指さしてもらおうとするとその場でドバッと醤油を掛けてくれました。
エライ量で辛いかと思いましたが、やっぱり中国の醤油は色だけで大丈夫でした。
この4品はどれも旨かったです。嫁さんと朝からエエ気分で食べました。
出来たら怪しげなモノ、食べたことないモンにも挑戦したかったんですが、この時に回ってきたワゴンにはあんまり変わったモンはありませんでした。
唯一、料理の正体がよく分からずに指さして貰ったのがコイツです。
パッと見、経木のようなモンで椎茸と鶏が巻かれてました。
鶏と椎茸以外には、正体不明の白っぽいモノが。
椎茸は食べてみると干し椎茸のようでした。鶏はやっぱり鶏。
経木のように巻かれてるモノをよく観察すると、どことなく大根を縦に厚めにスライスしたようにも見えました。
囓ってみると、大根ではないように思いました。
食べても正体は分からんかったんですが、私はイモ系の何かをいっぺん干すかなんかしたモンちゃうかと思いました。
嫁さんからは激しい同意は得られませんでしたので、かなりエエかげんな推測です。(^ ^;)
この経木もオモロかったけど、もっとオモロかったんは中にあった白い物体。
噛みしめるとフワフワして、どことなくナイロンのスポンジを囓ってるような雰囲気。
ナイロンと書くとマズそうですが、かなり美味かったですわ。
味付けがええせいもあって、この料理が嫁さんと一致して一番気に入りました。
*次の日に別の店で食べた飲茶で、この白いモンと似たモンに再び遭遇。
そっちを食べると日本語の薄揚げっぽくもありました。
豆腐は香港でもあったから、薄揚げもあってもそんなにおかしくないし・・・。
薄揚げのタチがちゃうヤツやったんですかね。
飲茶の途中から、何年も前から気になってるモンに挑戦しました。
*自分らも飲んだのに、写真を撮り忘れました。赤の矢印が気になってたもんです。
同じテーブルの横の人が飲んでる小さな鉢に蓋が付いたお茶を飲んでみることに。
フロア担当の無表情なオッチャンに指さして1杯欲しいと。
無表情なりに外人に何ゆうてもしゃあないけど、カナンなぁという気持ちが出てました。
どうやらその器で飲むお茶にもいくつか種類があったからのようです。
あとで、この器は積んであるコーナーをチェックしたら、
「香片」・「水仙」・「龍井」というラベルを発見。
結局何を飲んだか分かりませんが、初めて蓋をズラした隙間から湯飲みに注ぐってヤツをやりました。
その時にドボドボお茶をこぼしたんですが、この店じゃまったく気にならず。
テーブルの上はプラスチックの板敷きやし、店員さんが熱湯持ってきても、ドンって置いたらこぼれる始末。
どのお客も机の上が汚れてもまったく視界に入ってない状態。
中華料理の食事のマナーを見ると、食卓の上に直接ガラを置くのはありやと。
日本人にとっちゃある種のカルチャーショックを感じる光景でしょうが、実際にはあんまり目に出来ず。
この店やったらありえるやろうって気がしました。
”ういろう”というか寒天というかよう分からんモンを揚げたお菓子です。
甘さはあんまりなくて味としては素朴で私にも食べられんことはなかったです。
ただ、揚げてるせいで食事の最後にはかなり重くて一口だけ味見して後は嫁さんに任せました。
お茶を2種類、おかず系点心を5つ、甘い点心1つでお会計は88元。
満足感いっぱいで、腹8分目まで食べて某ホテルのカクテル1杯以下の値段って・・・。
店の雰囲気もオモロイし、料理も旨いしメチャメチャ値打ちありましたわ。
ネタを引っ張るのがお約束の私にしては珍しく、また結論を先に言うてしまいます。
今回の旅行では飲茶を5回食べました。
最後の1回は外してもええんですが、その中で一番ココが気に入りました。
たった4回で飲茶を語る気はサラサラありませんが、もし他人にドコに行ったらええと聞かれたら、私はこの「蓮香楼」を推しますね。
ホテルなんかのモダンでアートな点心、高級食材入りや高級な雰囲気、色々あるし料理としてだけ見たらもっと美味いトコもあるんでしょう。
せやけど、香港に住んでる訳でもなく、短い旅行で飲茶をシバくんやったら、私はここは”外せない”店ってことにしておきます。
繁華街を着飾って歩いてる人見ても、その土地の個性って薄いと思います。
そんな意味じゃ、みんながつっかけ履いて来てるようなこの店の雰囲気は旅する者にとっちゃ貴重かと。
*つっかけ履いた人がおったかは、確認してないですよ。
「旅に何を求めるか」って根本にも大きく関わると思いますが、私にはここがずば抜けて一番のヒットでした。(^_^)v
・「蓮香[木婁]」(Lin Heung Tea House)
住所:中環威霊頓街160−164号G/F
電話:2544−4556
営業:6:00AM〜23:00(飲茶〜17:00)
定休:無休
*写真に写ってるのは赤の他人です。
*ココが学生時代に行った店かは、結局不明です。
全然違うような気もするけど、可能性がなくない気も・・・。
まあどっちでもええことですわ。
<後日追記>
*香港旅行の記事の目次になるページを作りました。
他の記事にご興味のある方は、コチラをご覧下さい。


> 「できる限り観光客ズレして無くって、ジモティがごくフツーに使ってる店」を求める人にはいい感じみたいですね。
まさにそんな感じです。
写真付きの日本語のメニューがあるホテルのレストランこそが一番と思う人には全く向いてないでしょうね。(^ ^;)
> 現地人になれるわけもなく、旅人としての疎外感もまた楽しや、ですなあ。
疎外感も旅の一部ですもんね。
自分は浮いてても、現地の人の様子を観察出来るのは楽しいです。
この正体は、多分ですが魚の浮き袋を干したものです。
香港では高級レストランのスープにも入っていたりする正統派の食材のようです。