しばらく前から宮津にある白嶺酒造という酒蔵には行こうと思ってました。
ただ私のドライブの感覚からすると宮津ってのは日帰りでも充分な距離。
暇な平日にでも行こうかと思いつつ延び延びになってました。
いつでも行けると思うと逆になかなか行けないってのはないでしょうか?
そんな私の背中を押すような情報を見付けたのは先週の初め。
うちのブログにコメントを頂くこともあり、リアルでもお目に掛かったことのある泡奴さんがそのネタ元。
宮津の駅前にある大衆食堂兼居酒屋がスゴイと。
そして居酒屋やけど「泊まり」も出来ると。しかも安い値段で。
屋号を頼りに検索を掛けるとあっさりと電話番号が判明。
仕事中の嫁さんに緊急連絡。週末の予定を聞くと「空いてる」とのこと。
しばらく前からえらく弱り気味で、エネルギーを使う旅行のたぐいは自粛してました。
ここ2週間ほどやっとトンネルを抜けた感じやし、小旅行なら行けるやろうと。
嫁さんとの電話を切ったら、即座にお店にTEL。
土曜日やから一杯かと思いましたが、無事予約出来ました。
当日は6時頃に起きて、天王寺の立ち食いうどんで朝メシを済ませ7時半頃走り出し。
大阪からは阪神高速の池田線で能勢へ、そこからは地道でのんびりドライブ。
ゆったりと走りましたが11時頃には丹後半島に到着。
昼メシの後、ちょこちょこと観光して宮津駅前に着いたのが4時前。
チェックインの時間を確認してなかったので、車の中で新聞を読みながらしばらく時間つぶし。
4時半になったのを確認して宿へ入ることにしました。
北近畿タンゴ鉄道「宮津駅」ロータリーの正面にある「富田屋(とんだ屋)」。
年季は感じますが見た目は思い切り大衆食堂。
宿の入り口は分からんかったので食堂に声を掛けました。
大学ノートが宿帳で少し上には泡奴さんのお名前も発見。
記帳を済ませると店の人が部屋に案内してくれました。
横手の植え込みに隠れるように宿の玄関が。
落ち着きのある旅館ぽい入り口でしょ?
宿の中はかなり使い込まれてましたが、掃除が行き届いてるんで清潔感はありました。
曲がりくねってギシギシ鳴る廊下を通って部屋へ。
廊下からは障子戸だけで隔てられた昔ながらのお部屋。
プライバシーってな単語がない時代のスタイルのまま。
すでに布団が出てるあたりは効率的ですね。
予約の電話で店の人から「店の上やからうるさいですけど大丈夫ですか?」と確認されました。
泊まってみて思ったのは、飲み屋の上やからというて「うるさい」ってことはなかったです。
ただし、障子だけで仕切られてるんで宿中の話し声やら物音は筒抜け。
1階のお店にあるテレビの音が上に抜けるせいか、1階に居るより大きく聞こえます。
廊下がギシギシなるし、ヒトが歩く思った以上に部屋の中に音が入ってきました。
夜や早朝のトイレヘ行くヒトの音がバンバン聞こえるんで、落ち着きを求めるヒトにはハッキリ言うてキツイ宿です。
部屋には古〜いテレビが一つ。
一応窓に付けるタイプのクーラーはあったので夏場でも大丈夫でしょう。
備品はなんにも期待してなかったので、浴衣と歯ブラシがあったのが逆に意外でした。
トイレは個室一つを共同で使用。風呂は夕方の5時から10時まで。(朝はナシ)
こんな宿でもまったく不平不満は持ちませんでしたよ。
なんせ宿代が5000円なんですから。
しかもこの5000円で1泊2食付き。
今時の日本でこの値段はかなり衝撃的やと思うんですが、どうでしょう?
晩ご飯を6時からで頼んだので、5時半頃お風呂へ。
札をかけて貸し切りで入るんですが、最近流行りの「貸し切り温泉」なんかと誤解ないようにして下さいね。
大人が一人で入るのやっとの可愛らしい湯船ですから。
この日はうちら以外にも3組ほどのお客さんがあったんで、上手いタイミングで風呂に入れてラッキーでした。
風呂であったまってビール飲みにも万全の体勢。
このネオンサインはかなり味がありますね。
土曜日の6時でお店の中は4割ほどの混み具合。
ふ〜ん、土曜日やからそこそこはお客さんが入ってるなぁと。いいながら飲み食いスタート。
宮津は「市」とは言うものの駅前も非常にのんびり。
客の入りもまあこんなモンかと思ってたんですが、大ハズレ。
私らが食べだした頃から町中のヒトが押し寄せとるんちゃうかという程の客の入り。
大きめのテーブルでは当たり前のように相席でしたが、予約のヒトも多く後半は満席で何組も断ってました。
さて、いよいよ1泊2食5000円のお値段で食べたモンを見て貰いましょう。
素泊まりが3800円やそうです。朝メシはお店のむかえにある系列の喫茶店で食べるんですが、そのモーニングセットは590円。
ということで、単価を引き算すると晩メシ代は「610円」という訳です。
その値段で食べたってのを頭に置いて見て下さいね。
・まるご(ブリとハマチの間)の煮物
・エビとゲソの天ぷら
・お造り盛り合わせ
・サザエの壺焼き
・デカイ鰯の塩焼き2匹
・たっぷりのカニ身
料理の後、ご飯とお漬け物に味噌汁
最初に煮魚が出てちょっと戸惑いましたが、それをちんたら突いてるとあとはドドッと。
えらいスピードで出て来たんで机の上が皿で一杯でした。
どんどん出てきましたがどれも出来たてでした。
天ぷらはカリッと揚がってて熱々。エビはプリップリ、ゲソがまた新鮮で旨かったですわ。
写真で見ると少なく見えますが、下足はしっかり量がありました。
大阪でも鰯は売ってますが、今回ほどのサイズのはあんまり見ませんね。
イワシって家ではあんまり塩焼きにしょうと思わんのですが、このイワシは新鮮なせいかすごく気に入りました。
大振りのヤツが2匹もあるんでかなり食べ甲斐がありました。
カニ身もなかなかのモンで殻にたっぷり。
これが610円換算やと思うとスゴイでしょ?
っていうか、1泊2食5000円でコレってねぇ・・・・。
大衆食堂みたいなトコで食べるから、飾りっ気ってないですがどれもちゃんとした料理でしたよ。
ちなみにこのお店単品でもかなりお値打ちでした。
横のヒトが食べてたあら炊きなんか300円台やけどごっつい鯛の頭が2つか3つドーンと入ってました。
ウニは殻の上にドバッと盛り付けられてましたし。
私ら夫婦は大きなテーブルの端っこに固まって座ってたんですが、途中からおばさん3人とおっちゃん2人のグループが座りはりました。
おばちゃん同士って初対面でもいきなり仲良くしゃべり出したりしますよね。
ちょくちょく書くように私は「オッサンの皮を被ったオバハン」。
そのオバチャン臭さが他のオバチャンを惹きつけるんでしょうか、どこででもしょっちゅうしゃべり掛けられるんです。
この日も隣のオバチャンから仲間意識バリバリで話しかけられました。
その人らも大阪から来てはって、どうもリゾートマンションでももってるような話しぶり。
宮津には毎月のように来てると。ほんでこの周辺でも「富田屋」はずば抜けた安さで旨いモンが食べられると。
ほんでいつ来てもこんな風に混んでるってことでした。
私はこの店ことは泡奴さんに聞くまで知らんかったんですが、雑誌なんかにも載ってえらい有名やそうですわ。
そんなおばちゃんらは、どうやら前日に自分らの部屋かなんかで大量の魚を食べた様子。
海鮮が売りの店でしたが注文はラーメンでした。(^^)
カレーやラーメンは300円という格安さ。
食べてはるラーメンを見てると食い意地がはった我ら夫婦も食欲がムクムクと。
おばちゃんらに「見とったら旨そうなんで、真似さして下さいねぇ〜」って愛想よくいいながら注文。
自分らの料理に付いてたご飯は一つだけもらって、もう一つはパス。
ラーメンっていうより「中華そば」ってのがピッタリ。
368円という安さですが、太めの黄色い麺がええしスープも旨くて大満足。
嫁さんが「めっちゃカレーが気になる」というのだけはなんとか抑えました。
でも次は昼メシ時に食堂系メニューも試したいものです。
この宿では晩メシの後に会計を済ませるという合理的なシステム。
部屋に冷蔵庫なんかはないんで夜に会計しても問題ないわけです。
会計して驚いたんですが、ラーメンを食べるためにご飯を一人分キャンセルしたらその分をちゃんと値引きしてくれてたんです。
レシートにちゃんと「−210円」と書かれてました。
ちゅうことは上の6枚の写真に写ってる料理だけやと400円の換算に。(^^;
まあ店としては料理代がほとんどで、食べた人には宿代はサービスって感じなんでしょうね。
ちなみに飲み物も格安で生中が420円。日本酒は1合263円。
特に酒の1合は正味180mlあるんちゃいますかねぇ。3合でしたがキッチリ飲んだ気がしましたから。
生中4杯、燗酒3合、ご飯一人分パスして、中華そば追加。
まだ食べてない朝メシに、税金もなんもかんも込みで13127円でした。
酒込みで一人分としても安いなぁというのが正直な感想です。
こんなとこに泊まってしまうと”しょうもない”旅館で2万も使う気がせんようになりますねぇ。
富田屋を基準に考えてしまうと、ほとんどの宿のコストパフォーマンスはボロボロですわ。
次の日に向かいのサ店で食べたモーニング。
厚手のトーストが久々に旨かったです。
ドップリ掛けられたドレッシングとマヨネは除けて食べました。
朝メシを食べながら嫁さんとアホ話。
次から来る時は、一人を晩メシ付き、もう一人を素泊まりにしたらどうやろうと。
今回食べた料理はどれも2人でボツボツ摘める量がありました。
610円の夕食で総コストは下げつつ、地魚やらウニやらをバラで頼むって作戦がええんちゃうかと。
お店にとっても、確実に収入アップやから文句はないんちゃうかなぁと。
朝っぱらから次の作戦を練るあたりアホな夫婦ですね。
冨田屋での泊まりについてはOKの人とそうでない人がかなり分かれると思います。
そのためこれでもかってくらい細かく書いてみましたが、この記事を読んで泊まりたいと思える人にはホンマにオススメですよ。
こんな旨くてオモロくて激安の宿を教えてくれはった泡奴さんには大感謝です。
<参考>
*「富田屋(とんだ屋)」
住所:京都府宮津市字鶴賀2066−56
電話:0772−22−0015
チェックイン:不明 チェックアウト:10時
食堂の営業は11:00AM〜11:00PM
<後日>
タイトル変更
元は「610円の晩メシって?」。
なかなかあんな宿はないですよねぇ。
理想としては、2連泊くらいして
2日目も昼から階下でたらたら呑んで
部屋で昼寝して本でも読んで…また夕方から酒。
ってな感じです。うっとり。
実は、近くに漁港直営の食堂もあるのですが
『富田屋』の方が断然オススメですわ〜。
> ご夫婦でご堪能されたようで何よりです。
おかげさまで、めっちゃ良かったです。
> 日目も昼から階下でたらたら呑んで
部屋で昼寝して本でも読んで…また夕方から酒。
たしかにそのパターンは最強かも。
最終日の昼にでも魚に飽きたからってカレーを食べるなんてスゴイ贅沢でしょうねぇ。
いいですねえ、ここ。僕の場合、こういう雰囲気の場所でも全然気にならずに寝れるので、連泊飲んだくれパターンに憧れます。
ただし、もう少し予算を追加してもいいから、自分で好きなもん食べる選択肢も欲しいですね。そういう意味では「一人を晩メシ付き、もう一人を素泊まり」プラン、大賛成です。
> 僕の場合、こういう雰囲気の場所でも全然気にならずに寝れるので、
それやったらオススメですよ。
お店は混むんでサービス面はボチボチですが・・・。
> もう少し予算を追加してもいいから、自分で好きなもん食べる選択肢も欲しいですね。
確かに私もそう思います。
今回は試しってことでそのまま泊まりましたが、やっぱり色々注文したいですからねぇ。
素泊まりを混ぜるのが良さげでしょ?
11時に白板前に座り込み、焼き物×2・煮物×2・揚げ物×2・酢の物・お刺身盛り合わせ・ビール・冷酒・・・超素晴らしいし品物の数々!
食べてる最中から決めてました。
今度は泊まりで来ようと・・・
なので、えて吉さんの記事はすご〜く参考になりました。
今度1人2食付1人素泊まり作戦でトライしてきます。手に取るようにわかりやすい記事、ありがとうございました!