真っ向から吹き付ける風が僅かな時間で体温を奪っていく。
足先に痛みにも似た不快感を覚え始めたころ目指す場所が視界に入る。
いつもより重く感じるドアを開け、マスターに短く無沙汰を詫びる。
磨き上げたというには隙のある店内で、マスターは穏やかな笑みを返す。
肩に力の入りすぎない懐の深さを持った店の空気。
「こんな日は温っかいのにするかい?」
「とびきり熱いヤツをお願いします」
店内の暖かさを感じ始める前にカウンターに飲み物が置かれる。
火傷しそうなそれを口に含み、気を付けて流し込む。
胃の形をトレースするように熱さが広がる。一口ごとに温かみが広がる。
グラスの中の酒が冷める間もなく1杯目を飲み干し、同じものをお願いする。
顔のこわばりが緩み、マスターと世間話を交わす余裕が生まれる。
2杯目飲み終えた頃にようやく体が自分のものだったと思い出す。
飲み物と暖房、内と外からの解凍作業が終わり飲むペースが上がる。
何杯かのグラスを空にし、そろそろ終着点を探りはじめる頃。
店に入るから前から決めていたセリフを口にする。
「アイラ系のスコッチを飲み比べてみたいんですが」
プロの前で経験の薄さを隠すつもりはなく素直にマスターに相談する。
マスターは考えるというより一呼吸置いて、棚から2本のボトルを取り出す。
一本目のボトルはワインを思わせる端正なデザイン。
読み方を尋ね「カリラ」と教えられる。
一口含んでしっかりとアイラの特徴を確認。
続いて後ろの「ボウモア」へ
較べてみて個性の違いが大きいことに驚く。
マスターにそれぞれの特徴についてレクチャーを受ける。
一言にアイラと言っても味や香りにはかなりの個性ががあることをしる。
「しばらくウィスキーに集中してみます」
マスターにそう告げてからますます寒さの厳しくなった外の道へと踏み出す。
頬に刺さる寒風を感じつつ、アイラ島はこの程度ではすまないのだろうと思う。
いつかは現地で蒸留所を回って飲み比べたいものだと酔った頭で考えている。
あ゛ぁ〜、疲れだぁ〜!!
ヒゲのマスターシリーズでなんぞネタを仕込もうと思うたんですけど、あきませんでしたわ。
上の文章を書いてみて、オチがないからボツにしようと思うたんですけど、書き直すエネルギーがないから上げてみました。
マンネリを避けるためにもなんぞ仕掛けをしたいとは常に思ってるんですよねぇ。
せやけど文章のスタイルッちゅうのはいじりにくいもんですなぁ。
ほんでスタイル変えるとすぐ「ネタやろ」ってバレますしね。
かっちょええ系の文章なんか書いたこともない私なんで単語ひとつでも苦労しました。
この文章の量だけでいつもの3〜4倍の時間とエネルギーが要りましたよ。
上のカリラとボウモアが今週初めに買うた2本なんです。
両方でだいたい7000円やったかと思います。
2日酒を抜いた末にやっと昨日、嫁さんが帰ってから一緒に味見したんです。
ちょっと頑張って写真を撮ったら自分なりには結構気に入るモンが混じってました。
出来たらヒゲのマスターが初めて登場した時の冬バージョンをと思ったんですが失敗でした。
またいつかみなさんが油断した頃にネタを仕込みますので、よろしゅうお願いします。
<06.4.13追加>
関連ネタを集めた目次代わりの記事を上げました。
ヒゲのマスターの他の記事は、コチラからどうぞ


客が引く頃に自分用に棚の奥から引きずり出してきては
飲んでいたのを思い出します。
もう、飲んでるかも知れませんが、機会があったら
オーバンなんかも試してみて下さい。
(アイラではありませんが)
> 客が引く頃に自分用に棚の奥から引きずり出してきては
飲んでいたのを思い出します。
思い出のあるお酒っていいですね。そのマスターはすごいボウモアがお好きやったんでしょうね。
> 機会があったらオーバンなんかも試してみて下さい
ありがとうございます。チャンスがあれば飲んでみますね。