2004年04月27日

落語「青菜」に出てくる酒”柳陰”

*柳陰とは”みりん”の一種

えて吉は、小学校のころよくテープで落語を聞いてました。
その内の1つに「青菜」という噺があります。

大きな家の旦那が植木屋をねぎらって、飯を食わせることがテーマの噺で分かりやすいものです。
その中では、夏場のことなので、料理として鯉の洗いが出てきます。ごっそう(ご馳走)やと喜ぶ植木屋へ、旦那が「井戸で冷やした”やなぎかげ”」を勧めます。

私はガキの頃かこの噺を聞いてて、きっと有名な日本酒なんだろうと思ってました。

少し前に何かの拍子にその銘柄についてネット調べてみました。
すると、意外なことが色々分かりました。

まず、柳陰(やなぎかけ)が日本酒ではなくみりんだったことに驚きました。
そして、てっきり有名な銘柄だと思って柳陰は、お酒のジャンルだったことも2重のびっくりでした。

みりんに焼酎を加えて作った飲み物の総称だったんです。
関東では、「本直し」というそうです。

「やなぎかげ」って聞いたら銘柄と思いませんか、普通?

えて吉は、本みりんがほぼ日本酒くらいのアルコールを含んでて、そのせいで少し前まで酒を販売する免許のないスーパーでは売れなかったという程度の知識しかありませんでした。

ちゃんとしたみりんであっても料理用ではなく、飲用してたのも意外でした。どっかで「いやしい酒飲みが、飲んでる途中で酒が切れて、みりんまで飲んだ」といった表現には出会った記憶があります。

かつて柳陰は、日本版のリキュールとして真っ当に飲まれてたようです。
ネットの酒販店の説明では、”庶民”のと表現されてたから、特別高級なモノでは無かったのかもしれません。

今は、一度廃れた柳陰を復活させて、飲用として売っている所があるようです。甘口ということなんで私にはおそらく向いてませんが、チャンスがあったら試してみたいもんです。

*飲み物の温度と季節

落語の中では、柳陰を勧めるのに、わざわざ「井戸で冷やした」と説明しています。
電気のない時代の「冷たさ」では、夏場は井戸の水が一番冷たいものだったわけです。

夜の”暗さ”は、昔と今の違いを語る時にはよく話題に登ります。同じように温度に対する感じ方は、今と昔でかなり違うんでしょうね。なかでも特に暑い時期の冷たさというのは、今との差が大きい気がします。

昔でも飲み食いするモノを熱くはできました。でも暑い時期にモノを冷やすのは非常に限られてたわけです。

だから旦那として、”冷たさ”もご馳走として植木屋にすすめてやったんでしょう。

今では夏場に外で飲むビールは、頭が痛くなるほど冷えてることがあります。本当にビールが美味しいと言われる4〜8℃では、ぬるく感じるほどです。

そう考えると、何でも退化したと言われる現代人ですが、温度を敏感に感じて、それ喜ぶ感性もやっぱり鈍ってしまってるんでしょうか。
posted by えて吉 at 10:57| 大阪 ☔| Comment(11) | TrackBack(0) | アルコール全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ちわー。

ドイツの貴腐ワインを飲んだことがあります。
ベッタベタに甘かった。
デザートワインなんでしょうね。

みりんもおんなじようなものかも。
やっぱダメ?
Posted by ま〜こ at 2004年04月27日 23:20
> ドイツの貴腐ワインを飲んだことがあります。
 それってメチャクチャ高いヤツですよね。

 私には、柳陰どうよう駄目そうです。
 食後にも平気で食前酒系を飲むくらいなんで。
 
 落語じゃ、鯉の洗いと一緒に飲むけど、
 合うんでしょうかね。

Posted by えて吉 at 2004年04月28日 09:15
日本酒も冷やして呑む習慣なんてなかったのでしょうね。
常温以上、でしか呑まなかったのでしょう。
今の時代は贅沢ですが、風情はやや欠けるのでしょうかね。
Posted by milc1011 at 2004年04月28日 15:31
ごめんやす。トシ坊です。
落語にはよく酒をテーマにしたものがありますね。あらすじは覚えていないんですが、「村さめ」「直さめ」という酒が出てくる話があります。「村さめ」とは、飲んで村境まで来ると酔いが醒める安物の酒で、「直さめ」とは飲んだ尻から酔いがさめる酒のことらしいです。
どんな酒や(笑)
Posted by トシ坊 at 2004年04月28日 19:03
milc1011さんへ

一度便利さを覚えると戻れないですが、
やっぱり失ったものもかなりある気がします。

トシ坊さんへ

酒の場面って噺家の芸の見せ所とも言えますね。
ところで、村さめ、直さめってなんて言うネタでしょう。私はその噺は聞いたことないですねえ。
Posted by at 2004年04月28日 19:17
すいません、さっきのコメント名前抜けてました。
上の奴は、えて吉からのコメントです。
Posted by えて吉 at 2004年04月28日 20:39
トシ坊です。すみません。全然おぼえてません。
たぶん子供の頃にラジオかなにかで聞いたのを思い出しただけなもんで・・・。
あと、汚いところでは相撲風景?で小便したくなって前の桟敷客の空いた一升瓶にじょんじょろりんとやってしまい、それを知らずに、前にいる酔客がのんでしまうってなものもありましたね。またいらんことを思い出しました。ハイ(笑)
Posted by とし坊 at 2004年04月28日 21:34
トシ坊さん、レスありがとうございます。

相撲風景?の方は、かなり有名な噺ですね。
たしかに、”汚い”系のネタですが・・・。
Posted by えて吉 at 2004年04月28日 21:57
こんにちはcurryroux
といいます
はじめての書き込み
をさせていただきます。
上方落語では旅ネタというのがありまして
東の旅
という「伊勢」までを演じるネタがあります
「発端」から「煮売り屋」への場面で
むらさめ、じきさめ
の言葉がでてきます
あまりにも、懐かしかったので
書き込みをさせていただきました。
Posted by curryroux at 2005年05月27日 16:12
curryrouxさんへ

初めまして。コメントありがとうございます。

旅行中で返信が遅れました。

落語にそういう分類があるとは知りませんでした。

教えていただき有難うございます。
Posted by at 2005年05月28日 14:42
初めまして。みゃあと申します(これ、ふざけていますが正式なペンネームですw)

柳陰について調べていた所、こちらの記事に行き当りました。
古い記事へのコメントですがご容赦ください。

柳陰の市販の物を飲んだことが有ります。
えて吉さんと同じく、私も甘いお酒が苦手なので4合瓶が中々なくなりませんでした。
これに関しては友人が家に来た時に出してみた所、大変喜んでくれ、空けてしまいましたw
冷やして置いてロックが良い様です。ただ、かなり酔い方が速いのでお気を付けください。

自分の口には合わないお酒かな? と思っていたのですが、先般ちょっと思い付いて自分で作ってみました。調理用の高いみりんがあったもので。
本来の柳陰は焼酎とみりんを1:1で作るのですが、9:1位にしてみた所、結構美味い!
面白がって色々とやってみた所、芋以外はかなり行けました。
玉ねぎや牛乳等の特殊な焼酎に関しては試していませんが、紫蘇焼酎までは大丈夫です。

あと、変わったお酒としてはカストリ焼酎(酒粕を蒸留して作るお酒で、清酒蔵で今でも作っている所が有ります。終戦直後に出回った密造酒とは別物)なんかも行けます。
もっとも、こちらはそのままでも美味しいのですが。

ちなみに落語の「青菜」は私も好きな落語ですw
Posted by みゃあ at 2017年11月04日 18:11
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