2004年11月11日

カレーに生卵の発祥探し

今日は、何年振りかで図書館に行って来ました。

目的は、「カレーに生タマゴ」の発祥探しです。

 *このネタに至るまでには、若干の経緯がありますが、もし興味のある方は、コチラをご覧下さい。



ネット上で、すでに二人の方が検索されてるんで、私はそっちは早々に諦めました。

しかし、分布図ばかりでいちびってるのも申し訳ないんで、体を使ってみました。
(チャリンコで10分も掛からない地元の阿倍野図書館に行っただけですが。)


今回の目的は、カレーの上に生たまごを乗せた発祥探しです。


安易なところで、”起源辞典”のたぐいから始めました。


1.「新版 事物起源辞典(衣食住編)」 東京堂出版
 
 ”カレーライス”の項目はありましたが、生卵に関した記述はなし。

2.「事物起源新辞典」 藤原秀憲編 新和出版社

 ”カレーライス”自体が非常に簡潔。

3.「たべもの起源事典」岡田哲編 東京堂出版

 カレーライスの起源については、それなりでしたが、生卵に関した記述はなし。
 
4.「年表で見る モノの歴史事典 上」 ゆまに書房

 ”カレー”の項目にけっこう細かいカレー関連の出来事が乗ってて面白かったですが、生卵ネタは一切なし。
 


続いて、オーソドックスに”食べ物”関係の書架を攻めました。

料理の本と、食のガイド、食のエッセイが並んでました。

5.”大阪絶品100選” 加茂一郎 近代文藝社

 ガイドには役に立たんエッセイ系。
 登場する店が全て匿名なんは、気に入りませんでした。
 
 カレーネタはいくつかありましたが、生卵のコメントはありませんでした。

6.”うまうまノート” 室井滋 講談社

 芸人の室井滋です。
 実は、個人的にこの人とエッセイが好きで何冊か読んでます。
 
 名前に目が止まってから、富山出身やから、もしかしたら”違い”としてカレーが
 出るかもと思ってチェック。
 
 内容は東京中心で、ロケ弁当のネタで”カレー”について記述はありましたが、
 生卵のコメントはありませんでした。
 
7.”めし・みそ・はし・わん” 宮本馨太郎 民俗民芸草書 岩崎美術社

 専門書に近い、本格的な民俗関係の本でした。
 
 字が細かくて、表現が真面目。
 
 その上、前日2時過ぎに寝て8時頃起きて、若干睡眠不足気味。
  (堅気の人には、充分寝てると思われるでしょうね。)
  
 背中からポカポカと時期はずれに温っかい陽射し。
 
 なんども、ガクッ、ジュルッと学生時代のようでした。
 
 タマゴ関係では、蒸し物の中で、茶碗蒸しに使うという記述程度でした。


”辞典”、”食べ物”のセクションに続いては、

”風俗”、”歴史”の辺りへ


区の図書館ですから、”風俗”に変な期待はナシですよ。


8.”昭和こども食べ物図鑑 -卓袱台を囲んで食べた家族の味-”
 文:奥成達 絵:なかたはるみ ポプラ社
 
 ”黄色いカレー”への郷愁ネタはあり。タマゴは一切なし。
 奥氏は、東京生まれ。
 
9.”戦下のレシピ” 斎藤美奈子 岩波アクティブ新書

 昭和17年の貝と里芋で作る”剥き身”カレーのレシピのみ。


続いて、旅行ガイドを置いてるようなセクションへ


10.「NHK ふらさとデータブック6 近畿」 NHK出版

 単なる表面的な各地方自治体のデータのみ。
 

最後に”郷土”のコーナーへ


10.”「関東」と「関西」おもしろ比較読本” 日本博学倶楽部 PHP文庫

 軽い暇つぶしのための雑学系文庫本でした。
 
 関西では、カレーに生卵、ソースを使うとの記述はありました。
 
 でも、なんで”郷土”のコーナーに、こんな軽い本が入ってるんでしょう?
 見つけたときはかなり意外でした。



さて、これで今回の調べモンの流れはだいたい分かって貰えましたよね。


たまたま10冊になりましたが、これらは万が一と思って一応項目を繰ってみた本です。
他にも何冊かは手にとってみました。




上記以外で、わざわざ会員登録?して、借りてきたのが、次の3冊です。


11.”われらカレー党宣言” 世界文化社

12.”カレーライスの誕生” 小菅桂子 講談社

13.”全日本「食の方言」地図” 野瀬泰申 日本経済新聞社



一応、3冊とも図書館で”カレーに生卵”ネタだけは目を通してきました。



一番面白いのは、11の”われらカレー党宣言”ですね。

物故者のネタも含めて、著名人のカレーへの思い入れが語られてて”読む”気になりました。

私の好きな池波正太郎の文章や向田邦子の原稿もありました。

かなり駆け足で字面だけを追ったところ、”カレーに生卵”を発見。

ドキッとして、和田誠の文章を読んでみました。末尾に、氏が大阪出身と書かれててガックリ。

続いて、同書で東京は、有楽町の事例を発見。

滝田ゆうという漫画家の文章では、昭和28,9年頃にドライカレー(当時は、トルコライス)に生卵が乗って豪華に見えたとのこと。

ただし、その店は喫茶店だったようです。

さらに、東京生まれの山口瞳が、旅先でカレーをついつい食べてしまうと書いた後、

”田舎に多い”としながら、カレーライスのスペシャルを頼むと”生ま卵”がのっかってくる。と書いてました。


発祥探しには役立たなくても、内容的には面白かったです。



13の本は、去年の年末に出たばかりの比較的新しい本でした。

”天ぷら”にソースをかけるか?、紅ショウガの天ぷらはありか?などけっこう面白そうなネタが満載でした。

目次とパラパラと中を見る限り、カレーと生卵のネタはありませんでしたが、「食の地域差」という意味ではおもろそうな本でした。



さて、12番の本が飛んでましたよね。


作者は、東京生まれの女性です。


この本の中で、盛り方の作法として”浅草海苔”と共に、生卵が出てました。

生卵に関係したところだけ引用します。


(ここから引用)

そして、生卵をのせる食べ方が明治三四(一九〇一)年にはすでに紹介されている。

 西洋皿に炊きたての飯を盛り其上に適宜かけて食するのであります
 其上に生玉子を割りてのせてもよろし(『女学乃枝折』明治三十四年)
 

(以上 引用)


数行後にも

(ここから引用)

生卵については、エッセイストとしても知られた古川緑波も、「関西では、ライスカレーにはソースをかけて食べる(そして生卵をまた一つ、ぶっかけるのが上等となっている)という風習のあることを知ってから・・・」(『ロッパ食談』東京創元社、一九五五年)と書いているように関西ではなじものある習慣だが、当初からあったことが分かる。

(以上、引用)



はあ、引用は、疲れますなぁ。


とりあえず、1901年には地域は不明ながら、カレーに玉子乗せがあったということが分かりました。

原典の『女学乃枝折』にまで手を伸ばせたら良かったんですが、あくまでも地元の小さな図書館では限界でした。

その頃には、分布図ネタで何件もコメント頂いてるってのが携帯に知らされたたので、適当に切り上げました。

発祥探しは、簡単ではありませんが、現在のカレーに生タマゴが”アリ”か”ナシ”は誰にでもコメント出来ますよね。

ぜひ、コメント下さいね。



このネタ、文字ばっかりで自分でもうんざりなんで、誰も読んでないかも・・・。


<04.11.14 追記>

この記事に関連した”カレーに生タマゴ”調査の最終のまとめはコチラです。





posted by えて吉 at 00:04| 大阪 ☁| Comment(12) | TrackBack(1) | なんでもあり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
素晴らしい!!!
コメントの整理と白地図塗りに終われてこっくりこっくりしながら、ここまで調べるえて吉さんに完全に脱帽です!
今回えて吉さんが調べてくれたことではっきりしたことがあります。
生卵カレー発祥の候補である「自由軒」の創業が、明治43(1910年)ということは同社HPにも書かれていますが、果たして創業時から名物カレーがメニューにあったのかどうかが、僕にとっては疑問だったのです。(少なくとも創業時からあったという記録は今のところ眼にしていません)
http://www.jiyuken.co.jp/history.html

こりゃあお店に直接尋ねるしかないかなあとも思ってたんですが、今回のえて吉さんの調査によると、
明治34(1901)年にはすでに生卵カレーが存在していたわけで、その結果、「自由軒発祥説」は完全に消えることになります。何が発祥かはまだわかりませんが、これは重大(笑)なことだと思います。

こうなると、「女学乃枝折」という本がすごく気になりますね。誰が何の事を書いたどういう本なのか。
ちなみに枝折とは「しおり」だそうですが、今で言うなら「セレブな女性向けのライフスタイルガイド」みたいなもんやったんやろか、などと、想像たくましくしたりしておりますです。
Posted by ish at 2004年11月11日 00:58
ishさんへ

うぉー、丁寧なコメントありがとうございます。

なんか適当に書名を写しだけの元記事より
まともな内容ですね。

自由軒説はやっぱり消えるんでしょうね。

「女学乃枝折」については、リアル&ネット
共に一切手つかずです。

中途半端な調べ方やとは思いましたが、
分布図作りがあったんで、妥協しました。

歴史のある女性誌の献立を追うだけで
日本の食文化史がかなり分かるなんて
書いてる本も目にしました。

あとは、ishさんにお任せしましょうか。


Posted by えて吉 at 2004年11月11日 01:17
またおじゃまします。
ぷるみえさんが見つけてきてくれた「たまご博物館」の情報によると、大正6年〜10年にかけての年平均で国民1人当り「年間」殻付卵消費量は、たったの26個!
http://homepage3.nifty.com/takakis2/keizai.htm
当時如何に卵を食べる習慣がなかったか、あるいは高価だったかがよくわかります。大正に入ってからでもこんなのだから、明治34年だったらもっと貴重品だったはずですね。
そのころはまだカレー粉もなかった時代で、カレーそのものも大衆化する前な訳で、生卵カレーはすごくハイソな食べ物だったはずですよねえ。
http://www.housefoods.co.jp/openhouse/museum/rekishi.htm

このあと任されても自信ないなあ〜
Posted by ish at 2004年11月11日 01:25
すごいっ!
自由軒より9年も先にやっていた人がいたんですね。
でも小菅桂子さんって調べたら東京出身なんですよ。
近付いたような遠のいたような…(そして旅は続く)
http://kiifc.kikkoman.co.jp/tenji/tenji10/youshoku09.html
Posted by ぷるみえ at 2004年11月11日 08:20
ishさんへ

情報収集ありがとうございます。

昭和の高度成長期に入るまで、大多数の
人間は非常に慎ましい食生活だったん
でしょうね。

明治の人にとっての卵って今の我々には
なかなか想像がつかないですね。

一般庶民派今よりずっと貧しかったでしょう
からカレー自体がかなり特別なモン
なんでしょうね。

明治40年の洋食番付表が

「カレーライスの誕生」に

乗ってますが、それによると
ビフテキなんかを押さえて”別格”に
ランクされてます。

洋食の王様だったんだろうてな表現も
あります。

そこになま卵を乗せるのは、

 ”豪華な衣装をまとった王様”

って感じでしょうか。

ishさんにお任せするといいながらも
発祥探しは、この辺が限界そうですね。


Posted by えて吉 at 2004年11月11日 08:22
ぷるみえさんへ

おはようございます。

どうやら同じ時間にパソコンに向かって
おられるようですね。

ちょっと発祥探しの情報が増えましたが、
誰かの発明かどうかは微妙ですね。

また各地で生卵乗せが実行されたのは、
卵が一般化してから自然発生って可能性も
ありそうですし。
 ↑
 卵でマイルドにするってスタイルから。

> そして旅は続く

力強いお言葉ですね。

発祥探しの答えを期待します。

Posted by えて吉 at 2004年11月11日 08:30
ぷるみえさんが調べてくれたキッコーマンの小菅桂子さんのページ、おもしろいですね。カレーの事以外も興味深いです。
>でも小菅桂子さんって調べたら東京出身なんですよ。
>近付いたような遠のいたような…(そして旅は続く)
小菅さんご自身が明治34年に卵カレーを食べていたはずはないし、出身はあんまり関係ないかもですね。
やはり今後の取っ掛かりは、「女学乃枝折」ですね。
どっかにないかなあ。
Posted by ish at 2004年11月11日 09:10
ishさんへ

素早いレスありがとうございます。

キッコーマンのサイトのような内容の
本を何冊か図書館で見ましたよ。

目的があったので、ゆっくり読めません
でしたが、なかなか楽しかったです。

「女学乃枝折」もその記事で”新しい食べ方”
として発明したんでは、無さそうなので、
元ネタがあるんでしょうね。

関東ないしは、全国で売られてた本
なんでしょうか。

関西の出版でなければ、

 かつては関東でも卵は当たり前だった。
   ↓
 いつの頃からか、”あり得ない”に変わった。

なんていうことにもなりそうですね。
Posted by えて吉 at 2004年11月11日 09:27
明治34年頃の出版界ってどんなだったんでしょうかね。恐らく流通が発達していないので、全国規模の雑誌はありえないだろうし、単行本がどれほど発行されていたかとか、これはこれで興味深いものがあります。

>かつては関東でも卵は当たり前だった。
>   ↓
>いつの頃からか、”あり得ない”に変わった。
当たり前だったかどうかは別にして、「東京ではいつのころからか廃った」説は充分ありえるような気がしてきました。

何の根拠もありませんが、今僕が想像しているのは、
・当時カレーライスを食べられたような階層では、地域差なしに卵乗せの習慣があった。
・ただし、全ての地域で定着するまでには至らなかった。
・既にあったその習慣を元に自由軒が名物カレーを発売し、大阪を中心とした関西一般に広まった。
…って感じです。
Posted by ish at 2004年11月11日 11:04
ishさんへ

”金持ち階級は、滋養強壮のために
毎食生タマゴ乗せ”説って面白いかも。

勝手に滋養強壮って追加してしまいましたが
”健康のために○○”って、あったのでは。

今のサプリメントみたいに。
コレステロールを気にするなんてのは、
現代だけでしょうから、卵は”栄養”
のシンボルやったんではないでしょうか。

その当時におぼっちゃま、お嬢さまだった
方の話が聞けると面白いでしょうね。

自由軒のたまごの由来が気になります。

Posted by えて吉 at 2004年11月11日 11:34
ボケてました。そのカレーの話を書いた人だと思い込んでた(生きてたとしたら仙人ですよね)。

ところで小林カツ代さんによると、大阪では焼そばにもすき焼きみたいに生卵につけて食べる人もいるとか。ほんまでっか??
他にも生卵を乗せる食べ物って何かありますか?
Posted by ぷるみえ at 2004年11月11日 23:56
ぷるみえさんへ

焼きそばに生タマゴは聞いたことないです。
個人的にはあんまり欲しくないですが・・・。

薄焼き卵で焼きそばを包んだ”オムそば”は
全国的にあるんでしょうか。

生卵もんって他にはあんまり浮かば
ないです。

大阪人は、何でもかんでも生タマゴと
グチャグチャに混ぜて食べてる訳じゃ
ないですよ。(^ ^;)
Posted by えて吉 at 2004年11月12日 00:43
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック

生卵の起源はどこ
Excerpt: カレーライスに生卵を入れるかどうか、えて吉さんの所でアンケートとられてます。 えて吉の飲み食い: お願い!! あと少しで「カレーに生卵」地図完成 私は滋賀ですが、子供の頃は生卵入れました。卵入れるとお..
Weblog: 日々是
Tracked: 2004-11-12 21:56
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。